2007年12月05日
続・屋根裏
相変わらず、屋根裏ばかりをいじくっています。
手をつけるのが億劫で、あんなに重くのしかかっていた屋根裏が、今ではなくてはならないくらい、
これが終わってしまったら何を楽しみに生きていこうか、と思うくらい、
毎日の生活の、大黒柱となっております。
掃除は中途半端に投げ出しまして、最近は、床板張りをやっております。
同じことばかりを延々繰り返すというのは、どうしても気力が続きにくいものでして、
ですから、とりあえず掃除が終わった部分に床を張り、そうしてそこに座って、お酒を飲んだり煙草を吸ったり、夢がある程度現実となったことを味わって、それからまた、次の部分に取り掛かります。
やはり、そうでなくっちゃあ、続きません。
あの万里の長城にしてみても、親から子、子から孫へと何代も掛かって築き上げたものですから、実際の労働に従事する者は、自分が生きている間にその完成を見ることが叶いません。
そうなれば、先の見えない単調な作業の繰り返しに、絶望的になるのが人間の常でして、
こういう労働力の倦怠を懸念した時の権力者は、工事を細分化し、小さな部分をひとつひとつ完成
させていく、という方針に切り替えたのだと聞きます。
ですから、私が中途で掃除を放り出したのも、まんざら理に適わぬものではないのです。
子供の頃、家の庭に地下室を作ろうと考えました。
ショベルで穴を掘って、その建築資材に考えたのは、段ボール箱でした。
これ、蜜柑の空き箱であったと記憶しております。
穴を掘るというのは、やってみると意外にも大変な作業でして、まして小学生の私には、
夢に見た地下室、恐らくは6畳ひと間くらいの部屋を思い描いていたのだと思いますが、これだけの
土をほじくり返す体力などはとてもなく、もっとも、そんな体力は今でもないと思いますが、
とりあえずは、段ボール箱1箱分の見当の穴を掘った時点で、早速その蜜柑箱をはめ込んでみたのでした。ところがそれでも、深さが足らずに、箱は、3分の2程度が埋まったばかりでした。
しかし、形はどうあれ、目の前に具現化し始めた自分の夢に、私は非常にわくわくといたしました。
半分地中に埋まった蜜柑箱に、体育座りで納まって、それは、いくら子供とはいえ、身動き出来ないくらいに窮屈な体勢でした。
それでも私は、そこでお菓子を食べながら、漫画を読んだり、口笛を吹いたり、ともかくも、腰から下半分は、紛れもなく地下室であったのです。
近所の人は、地表に半分姿を覗かせ、黙然と座り続ける私に、
一体あそこの子供は何に取憑かれたろう、と思ったやも知れません。
で、私の屋根裏。
これよりは、さすがにいくらか進歩しているような気がいたします。
そもそもは、下の部屋の天井板、これがそのまま屋根裏の床となっている訳ですが、
これが大変古い板でして、迂闊に歩けばみしみしと、いつ底が抜けるか分かりません。
そこで、新たに根太を組んで、板を張り、ちゃんとした床を作ろう、と作業を始めた訳ですが、
しかしこれが、思ったよりも大変でした。
よく見れば、柱も壁も、この家自体が微妙に傾いております。
この傾きと、それから長い年月に変形した床のうねりと、それらが一方向に均一に、という訳ではありませんから、あっちが高かったりこっちが高かったり、一体何処を基準に水平を作ればよいのか分かりません。
おまけに私の日曜大工、きちんと寸法を測ったり、図面を引いたりいたしませんで、すべてが目分量ですから、まあいいや、と進めるうちに、張った床が広がれば広がるほど、最初の微妙な狂いが段々と、大きな傾斜となって現れ始めました。
今では、ビー玉がコロコロと、際限なく転がるような傾きようです。
しかし、折角張った板を剥がしてやり直すのは億劫ですし、なに、私の家にはビー玉なんてありません、仮に引き出しの隅っこで見つけても、そんなものは金槌で叩き壊してやればよいのです。
要は、丸いものを置かなければ、何も転がらずに済むのです。
床板を傾かせているのは、私の大雑把な仕事ではなく、傾いてると思う心なのだと思うのです。
お釈迦様も、こう仰っております。
腹が減った苦しみを取り除くためには、とるべき道がふたつある。
食べ物を口にするか、腹が減っていることを忘れるか。
一生懸命張った床板の傾きを取り除くためには、やり直すか、傾いていることを忘れるか、
このどちらかしかないのです。
しかし、傾いていることを忘れてしまうということは、自然、自分がこれに平行して傾いてしまっていることになりますから、それが当たり前となるならば、今度は世の中が傾いて見えるに違いありません。
薄暗い屋根裏で、自分が変に斜めに傾いて、見るもの聞くものすべてを、曲がってんなぁ~、
傾いてんなぁ~、なんてぶつぶつと呟いて・・。
ああ、やっぱりやり直そうかなぁ。
Posted by wajin at 21:33│Comments(0)│TrackBack(0)
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