2007年11月15日
猫を噛む
旅の仲間が、インドの列車でバックパックを丸ごと盗まれてしまいました。
これ、本当によくある話でして、やはり荷物にはきちんと鍵を付けて、ポールに縛りつけるなり、
それ相応の用心をしなくてはいけません。
バックパックのような鍵の掛けづらいものにでも、なに、南京錠を2つ3つ見せかけでぶら下げて、
それだけだって、盗もうとする人間には大いに効果があるというものです。
私の実家には、至るところに「防犯カメラ設置」と書かれたシールが張ってありますが、
これ、父親のお手製のシールですから、誰が見ても非常にうそ臭い代物でして、その実やっぱり嘘なのです。
しかしそれでも、いくらかの効力は発しているような気がいたします。
私の家の近所では、家に鍵を掛ける者がおりません。
留守をしていても平気で鍵が開いていて、まあ、それで成り立つのですから、それだけ平和ということなのでしょうが、しかし先日、向こう隣のおばちゃんがやって来て、こんな話をして行きました。
このおばちゃん、家に小さな金庫を持っているそうです。
しかし、お金や通帳はそこには入れないのだと言うのです。
どうして入れないのだと尋ねると、決まっている、泥棒は金庫を狙うからだ、と、したり顔をいたします。
お金は別の場所に隠しておいて、金庫には、爪切りや耳かきなんかが入っているのだそうです。
おばちゃん、そんなに小ざかしいことを考えるくらいなら、まずは家に鍵を掛けなよ。
私がそう言うと、おばちゃんは、わはは、と笑っておりました。
で、インドで荷物を盗まれた彼。
深夜の長距離列車、目が覚めて事態に気がついたのが、ちょうど大きなジャンクションの駅だったそうです。列車は停車中で、冷静に考えれば、その駅で盗まれたという根拠は何もないのですが、
しかし彼、とっさにその列車を飛び降りたのだそうです。
実際、こういう深夜のジャンクションでの盗難は、頻発しているんですね。
停車時間も長いですし、乗り降りする乗客も多いですから、まあ、悪いことを考える連中には打ってつけの環境です。
どうしてこうなのかと嫌になるような押し合いへし合い、物売りもいれば赤帽もいる、牛もいれば犬もいる、ギャーギャーと何処かで赤子も泣いている、そういう一種の混乱の中、さっと荷物を掠め取られて、ひと度人混みに紛れ込まれれば、例え彼が血眼で飛び出したにせよ、再びこれを探し当てるというのは至難の業かと思われます。
ところがこの彼、オレンジ色の薄暗い明かりの灯る深夜のホームで、行き交うインド人を掻き分け掻き分け、その前方に、なんと自分のバックパックをずるずると引きずる、痩せたインド人の男の背中を見つけたのだと言うのです。
ザッと駆け寄って、むんずと男の肩を掴んで、この野郎っ、と怒鳴りつけると、その男、弾かれたようにパッと荷物を手放して、そうして、両手を開いて肩をすぼめて、ひと言こう言ったそうです。
「Why?」
「Why?」って・・、「Why」って言われて、俺、調子狂っちゃったよ。
インド人って、やっぱり面白いなぁ、と思います。
私が中学の頃の先輩に、ジャンボというあだ名の人がおりました。
これ、単純に体が大きかったからそう呼ばれていたのだと思いますが、このジャンボが、キセルをして駅員に捕まったことがありました。
当時は、自動改札が普及しておりませんでしたから、私なども、拾った切符を使ったり、定期券の日付をマジックで改ざんしたり、今では考えられないような原始的なキセルをしておりました。
で、このジャンボが捕まった時、駅員に、やはりむんずと肩を掴まれまして、大声で放ったひと言がこうでした。
「ばれたかぁ~」
私、あんまりこれが面白くて、その晩、父親にこの話をいたしますと、私の父、
「そいつは大物になるっ」
と、妙な太鼓判を押したのでした。
その後、ジャンボが大物になったかどうかは知りません。
しかし、窮鼠猫を噛む。
世の中には、色んな噛み方があるものです。
これ、本当によくある話でして、やはり荷物にはきちんと鍵を付けて、ポールに縛りつけるなり、
それ相応の用心をしなくてはいけません。
バックパックのような鍵の掛けづらいものにでも、なに、南京錠を2つ3つ見せかけでぶら下げて、
それだけだって、盗もうとする人間には大いに効果があるというものです。
私の実家には、至るところに「防犯カメラ設置」と書かれたシールが張ってありますが、
これ、父親のお手製のシールですから、誰が見ても非常にうそ臭い代物でして、その実やっぱり嘘なのです。
しかしそれでも、いくらかの効力は発しているような気がいたします。
私の家の近所では、家に鍵を掛ける者がおりません。
留守をしていても平気で鍵が開いていて、まあ、それで成り立つのですから、それだけ平和ということなのでしょうが、しかし先日、向こう隣のおばちゃんがやって来て、こんな話をして行きました。
このおばちゃん、家に小さな金庫を持っているそうです。
しかし、お金や通帳はそこには入れないのだと言うのです。
どうして入れないのだと尋ねると、決まっている、泥棒は金庫を狙うからだ、と、したり顔をいたします。
お金は別の場所に隠しておいて、金庫には、爪切りや耳かきなんかが入っているのだそうです。
おばちゃん、そんなに小ざかしいことを考えるくらいなら、まずは家に鍵を掛けなよ。
私がそう言うと、おばちゃんは、わはは、と笑っておりました。
で、インドで荷物を盗まれた彼。
深夜の長距離列車、目が覚めて事態に気がついたのが、ちょうど大きなジャンクションの駅だったそうです。列車は停車中で、冷静に考えれば、その駅で盗まれたという根拠は何もないのですが、
しかし彼、とっさにその列車を飛び降りたのだそうです。
実際、こういう深夜のジャンクションでの盗難は、頻発しているんですね。
停車時間も長いですし、乗り降りする乗客も多いですから、まあ、悪いことを考える連中には打ってつけの環境です。
どうしてこうなのかと嫌になるような押し合いへし合い、物売りもいれば赤帽もいる、牛もいれば犬もいる、ギャーギャーと何処かで赤子も泣いている、そういう一種の混乱の中、さっと荷物を掠め取られて、ひと度人混みに紛れ込まれれば、例え彼が血眼で飛び出したにせよ、再びこれを探し当てるというのは至難の業かと思われます。
ところがこの彼、オレンジ色の薄暗い明かりの灯る深夜のホームで、行き交うインド人を掻き分け掻き分け、その前方に、なんと自分のバックパックをずるずると引きずる、痩せたインド人の男の背中を見つけたのだと言うのです。
ザッと駆け寄って、むんずと男の肩を掴んで、この野郎っ、と怒鳴りつけると、その男、弾かれたようにパッと荷物を手放して、そうして、両手を開いて肩をすぼめて、ひと言こう言ったそうです。
「Why?」
「Why?」って・・、「Why」って言われて、俺、調子狂っちゃったよ。
インド人って、やっぱり面白いなぁ、と思います。
私が中学の頃の先輩に、ジャンボというあだ名の人がおりました。
これ、単純に体が大きかったからそう呼ばれていたのだと思いますが、このジャンボが、キセルをして駅員に捕まったことがありました。
当時は、自動改札が普及しておりませんでしたから、私なども、拾った切符を使ったり、定期券の日付をマジックで改ざんしたり、今では考えられないような原始的なキセルをしておりました。
で、このジャンボが捕まった時、駅員に、やはりむんずと肩を掴まれまして、大声で放ったひと言がこうでした。
「ばれたかぁ~」
私、あんまりこれが面白くて、その晩、父親にこの話をいたしますと、私の父、
「そいつは大物になるっ」
と、妙な太鼓判を押したのでした。
その後、ジャンボが大物になったかどうかは知りません。
しかし、窮鼠猫を噛む。
世の中には、色んな噛み方があるものです。
Posted by wajin at 16:46│Comments(0)│TrackBack(0)
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