2007年09月25日
ぼん 前編
前回、バンコクからの帰りの空港で。
いつものように安いチケットでしたから、深夜2時近くのフライトでした。
あちらは、空港使用税を券売機で支払いまして、それからイミグレーションに向かいます。
ところが、お金を入れた機械の調子が悪く、レシートがうまく発券されませんで、ピコピコと、小さな黄色いライトが点滅してしまいました。
仕方がないので、係員を呼びに行こうかと振り向きますと、驚くほど近い距離に、ひとりの日本人の青年が立っておりました。
別に気配を殺していたわけでもないのでしょうが、私、びくり、といたしました。
その青年、年の頃は30代、長髪にギターケースを抱えて、如何にもバックパッカーという雰囲気でした。しかし、身なりは意外とさっぱりしていて、貧乏旅行者と言うよりは、むしろちょっとイケ面の、海の家にでもいるビーチボーイのような印象でした。
で、大変爽やかな笑顔で、私にこう尋ねるのです。
「何かお困りですか?」
まあ、困っているというよりは、面倒臭いというだけでしたので、私、いえ、と簡単に事情を説明し、
青年の親切に軽く礼を述べて別れました。
ところが係員を連れて戻ると、どういう訳ですか、相変わらず同じ場所にその青年がつっ立っております。機械の蓋が開けられて、詰まった紙幣が取り出され、そんな作業を、なんだかもじもじとした雰囲気で、黙ってじっと見ております。
そうして係員が立ち去って、私とふたりきりになってから、こう切り出したのです。
「あのう、怪しまれても仕方がない話ですが、実は僕、お金を使い切ってしまいまして・・」
要は、困っていたのは彼の方なのでした。
ここに来るまでに持ち金を全部使ってしまって、空港使用税なんていうものは、聞いたこともなければ、勿論用意もしていない、と言うのです。
ところがこれを払わなければ中には入れてもらえませんから、非常に困っている。
彼の乗る飛行機は、先程から既にボーディングが始まっていて、急がなければ乗り遅れてしまう。
色々と当たってはみたものの、まあ、世間の風は、いくら南国タイランドといったって、やはり冷たいものであります。見も知らぬ人間に金を貸してくれる人なんて、そう滅多にいるものではありません。
そこに私が、ピコピコと、ここだよと合図を送らんばかりに、黄色いランプを点灯させた、という訳なのです。
しかし、私だってそんなにお人好しではありません。
ちなみに、空港使用税って、日本円で1,500円程度のものですから、大した額ではないのですけど、しかし、知らない人間に金を貸す時の抵抗感は、金額の問題じゃあありませんね。
その昔、中学生の頃、駅のホームの端っこで、高校生に金を貸せ、と言われたことがあります。
電車賃が足りないから金を貸せ、と言うのです。
どうして私がこんなにきび面に金を貸さなければならないのだ、
そう思いましたから、私、ない、と答えました。
するとこのにきび面、少し困ったような顔をして、それなら友達に電話をするから10円貸せ、
と言いました。
これ、カツアゲに間違いないのですが、随分とお人好しなカツアゲもあるものです。
もしかしたら、本当に電車賃が足りなかったのかも知れませんね。
勿論、この時貸した10円は、未だに戻ってまいりません。
そもそも、有り金を全部使ってしまって、日本に着いたらどうするんだ、
そう尋ねましたら、彼、カードがあるからキャッシングするんだ、と答えました。
じゃあ、そのカードで今キャッシングすればいいではないか、と詰め寄りましたら、
なに、タイでは使えないカードなのだ、とかわされました。
なんだかもっともなような、騙くらかされているような、青年の言うことが本当なのか嘘なのか、私にも、分からなくなってまいりました。
いつものように安いチケットでしたから、深夜2時近くのフライトでした。
あちらは、空港使用税を券売機で支払いまして、それからイミグレーションに向かいます。
ところが、お金を入れた機械の調子が悪く、レシートがうまく発券されませんで、ピコピコと、小さな黄色いライトが点滅してしまいました。
仕方がないので、係員を呼びに行こうかと振り向きますと、驚くほど近い距離に、ひとりの日本人の青年が立っておりました。
別に気配を殺していたわけでもないのでしょうが、私、びくり、といたしました。
その青年、年の頃は30代、長髪にギターケースを抱えて、如何にもバックパッカーという雰囲気でした。しかし、身なりは意外とさっぱりしていて、貧乏旅行者と言うよりは、むしろちょっとイケ面の、海の家にでもいるビーチボーイのような印象でした。
で、大変爽やかな笑顔で、私にこう尋ねるのです。
「何かお困りですか?」
まあ、困っているというよりは、面倒臭いというだけでしたので、私、いえ、と簡単に事情を説明し、
青年の親切に軽く礼を述べて別れました。
ところが係員を連れて戻ると、どういう訳ですか、相変わらず同じ場所にその青年がつっ立っております。機械の蓋が開けられて、詰まった紙幣が取り出され、そんな作業を、なんだかもじもじとした雰囲気で、黙ってじっと見ております。
そうして係員が立ち去って、私とふたりきりになってから、こう切り出したのです。
「あのう、怪しまれても仕方がない話ですが、実は僕、お金を使い切ってしまいまして・・」
要は、困っていたのは彼の方なのでした。
ここに来るまでに持ち金を全部使ってしまって、空港使用税なんていうものは、聞いたこともなければ、勿論用意もしていない、と言うのです。
ところがこれを払わなければ中には入れてもらえませんから、非常に困っている。
彼の乗る飛行機は、先程から既にボーディングが始まっていて、急がなければ乗り遅れてしまう。
色々と当たってはみたものの、まあ、世間の風は、いくら南国タイランドといったって、やはり冷たいものであります。見も知らぬ人間に金を貸してくれる人なんて、そう滅多にいるものではありません。
そこに私が、ピコピコと、ここだよと合図を送らんばかりに、黄色いランプを点灯させた、という訳なのです。
しかし、私だってそんなにお人好しではありません。
ちなみに、空港使用税って、日本円で1,500円程度のものですから、大した額ではないのですけど、しかし、知らない人間に金を貸す時の抵抗感は、金額の問題じゃあありませんね。
その昔、中学生の頃、駅のホームの端っこで、高校生に金を貸せ、と言われたことがあります。
電車賃が足りないから金を貸せ、と言うのです。
どうして私がこんなにきび面に金を貸さなければならないのだ、
そう思いましたから、私、ない、と答えました。
するとこのにきび面、少し困ったような顔をして、それなら友達に電話をするから10円貸せ、
と言いました。
これ、カツアゲに間違いないのですが、随分とお人好しなカツアゲもあるものです。
もしかしたら、本当に電車賃が足りなかったのかも知れませんね。
勿論、この時貸した10円は、未だに戻ってまいりません。
そもそも、有り金を全部使ってしまって、日本に着いたらどうするんだ、
そう尋ねましたら、彼、カードがあるからキャッシングするんだ、と答えました。
じゃあ、そのカードで今キャッシングすればいいではないか、と詰め寄りましたら、
なに、タイでは使えないカードなのだ、とかわされました。
なんだかもっともなような、騙くらかされているような、青年の言うことが本当なのか嘘なのか、私にも、分からなくなってまいりました。
Posted by wajin at 14:25│Comments(0)│TrackBack(0)
この記事へのトラックバックURL
http://wajin.t-galaxy.com/t776
