2008年09月24日

墓参の旅

 お彼岸ということで、お墓参りに行って来ました。
私の本家は埼玉の所沢、母方が千葉、そうして妻の方が、神奈川の平塚と日吉、
これをすべて、2泊3日で回ってやろうと考えました。

 墓参りだなんて20年近くもしないことですから、その不義理が祟ったか、とにかく慣れぬことはせぬものです、台風を避けたつもりが連日の雨、おまけに何処へ行っても車の渋滞、まさに心身共にヘトヘトになって帰って来ました。

 当たり前のことですが、墓というのは同じようなものがひとつ処に沢山とありまして、
一体どれが自分の家のものなのか、素人の私にはなかなか見分けがつきません。
それでも、私方のお墓の方は、どれも親戚と一緒に回りましたからつつがなく、ところが妻方の2つ、これを探し当てるのに随分と苦労いたしました。

 靴の中が濡れるような雨の中、妻は、傘を片手に赤ん坊をおんぶして、携帯電話でお墓の場所を尋ねますが、これがまた、ちっとも埒が明きません。
 「水道の近くの列の、右から3番目だって」
しかし水道は、数えただけでも10はあります。
 「それならば、墓の周りの景色を訊いてくれ」
 「小川があるって」
しかしこの小川、うまい具合に出来ておりまして、霊園の中を隈なく巡っておるのです。
 「墓の形は?」
 「四角だって」
 「四角と言っても色々あるだろう」
 「長方形だって」
 これは平塚のお墓でしたが、とにかく大きな霊園で、墓参する多くの人々を尻目に実に半刻、
ウロウロウロウロと、その内、自分が何を探しているのか分からなくなるようでした。
 そうしてようやく見つけたお墓の前で、初対面のご先祖様に手を合わせ、自分が何者であるのか、
そうして今回の思いつきの発端である、赤ん坊が産まれたことを報告しました。

 思いも寄らぬ渋滞に巻き込まれ、日吉のお墓に着いたのは、夕刻5時を回った頃でした。
こんな時間に墓参りをする者はいないのか、ガランとしたお寺には、人っ子ひとりおりませんでした。
 昨日の話ですから、幸い天気は良く、例の如くウロウロするにも幾らかましなようでしたが、
妻の怪しい記憶を頼りに、ローラー作戦よろしく、碁盤の目をなぞるよう実に沢山の墓石を眺めて歩きました。

 立派な花が生けられて、いまだ線香の白い煙が立ち昇るお墓もあれば、その一方で、随分と長い間人が訪れないのであろう寂しいお墓も、決して少なくはありません。
 私も、とても言えた義理ではありませんが、お彼岸という華やぐ季節であるだけに、そのコントラストがひどく印象に残りました。

 ようやくすべての墓参りを終え、見上げた夕空には、本当に、絵のように美しい、茜色のひつじ雲がどこまでも高く広がっておりました。
 やあ、秋だなぁ、と思いました。

 



 

 




 
 


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