2008年06月23日

箱根のフレンチ

 折角箱根に行って、おかしなおじさんの話だけではなんですから、ちょっと違うお話。

 2日目の宿は、座敷でフレンチを食べさせる、という宿でした。
 私、フレンチが食べたいというよりも、何処へ行っても刺身や天婦羅、これに飽き飽きとしておりましたから、結構楽しみにしておりました。
 住宅地に佇む小さな宿で、聞けば、どこぞの会社の保養所を改装したものだそうです。
夕方、近所を散歩してみますと、まるでお城のような豪邸が建ち並び、確かに会社の保養所も、
点々と目に留まります。大変、お金持ちなエリアです。

 一体どれくらいの金があったら、こういう家を建てられるのだろう、と考えました。
家を建てるのに掛かる費用だけでは勿論駄目です。
それくらいの金を使っても、ビクともしない金がなければ困ります。
 10億や20億。
あるところにはあるのだなぁ、と、暮れる夕空を眺めながら思いました。

 で、肝心のフレンチ。
 フレンチと知って予約を取り、そうして膳の前にあぐらをかいてビールを飲み、さて、と言うのもなんですが、フレンチって、どうですか。
ああやってちょこちょこと出されては、なんだか食べた気がいたしません。
それに部屋食ですから、しょっちゅう仲居さんがやって来ては、あれやこれやと料理の説明をいたします。迂闊に持ち込んだウイスキーを飲むことも出来ません。

 いえ、この形式こそ、フレンチなのです。
そう言うでしょうか。
それとも、お客様に、たまにはごゆっくりとお食事を召し上がって頂きたいのです。
と言うでしょうか。
 そういえば、部屋のテレビも驚くくらいに小さくて、これはテレビなんか見ないで、鳥のさえずりにでも耳を傾けなさい、そういうことなのかな、なんて思わせました。

 朝食もやっぱり同じようでして、ひとつの皿を食べないと、次を出してくれません。
一体次が、どれだけあるのか分かりませんから、なんだか腹分量もうまくいかない、
食べたくないから残しているのに、先程からボーイはまだかなぁ、なんて顔をしている、
とにかく面倒臭いなぁ、なんて、思いました。

 しかし、これ、私がせっかちなだけなのだと思います。
多分こういうことが好きな人は、結構いるのだと思います。
 ですからこの宿、家族向けではありませんが、女性同士の旅なんかには、向いているのではないでしょうか。

 で、もうひとつ。
仮にこの宿のフレンチが、例えば、有名な五つ星のレストランのシェフが作っていたら、私、感動していたでしょうか。
普段フレンチを食べ慣れない、そうして実際に食べてみても、何だかんだと文句を言っている私が、
やっぱり感動したでしょうか。

 極めたもの、というのは、多くの人に受け入れられる。
興味の垣根を飛び越えて、良いものは良い。訴えるものは訴える。
そうですよね。
 しかし、それは理想であって、本当は、そうではないのかも知れません。
事実、先日のフレンチだって、何処かのホテルでチーフだったというシェフが、随分と手間の掛かった料理を出し、味もまあまあ、まずくはなかったのですが、私には、残念ながらそのチーフの手間が邪魔と思えてなりませんでした。
 伊勢海老は、刺身で出して欲しかった。
 醤油で食えば、もっと美味しいのに。
 
この垣根、一流のシェフなら越せるでしょうか。

 越して欲しいと思いますね。
好きな人は好き、だけでは、つまらないですものね。


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