2008年11月13日
歩道橋に懸かる月
数日、東京に行っておりました。
その昔、深川のお祭りでTシャツを売ったことがありますが、以来十数年振り、門前仲町に宿を取りました。
曖昧と言うよりも、ほとんど記憶にない町並み、宿の場所が場所であったか、目の前の大きな通りをビュンビュンと車が横切って、思いもよらぬ大都市でした。
長時間、独りで車を運転して、退屈が疲れを呼んだか、宿に着いた頃にはもうぐったりでした。ベッドに足を投げ出して、缶ビールを数本空けたら、夕飯を食いに行くのも億劫なくらいでした。
なにせ明日は早くから仕事です。何処かで弁当でも買い出して、今日はおとなしく早寝をしよう。
重たい腰を上げ、駅を目指して宿を出ました。
初冬の短い日が暮れて、行き交う人々は皆せわしなく、酔いにだるさを増した体で、行けども行けども同じ景色の繰り返し、結局、何処が駅なのか、たどり着くことが出来ませんでした。
それでも、ようやく見つけたスーパーで、シャケ弁当と、厚揚げと、それからビールを数本、そうして、おとなしく寝る代わりに、白州を買って帰りました。
お腹も頭も落ち着いて、シャワーも浴びてあとは寝るだけ、となったのが10時を回った頃でした。
ところが、いざベッドに入ってみると、なんだかムラムラとして、なかなか寝付けません。
このムラムラの正体、無論、私には分かっておりました。
ヘイユー、折角東京に来て、夜遊びもしないのかい。
実は先刻歩き回った時にも、それとなく繁華街を探してはいたのですが、思った以上の体の疲れに気が挫け、しかしその火種はブスブスと、シャケを頬張りながらも燻り続けていたという訳です。
おいおい、今からまた出掛けて、この寒い中、ウロウロと店を探して歩くのかい。
せめて、場所に見当がつけば・・。
なに、タクシーがあるじゃあないか。
2時間で引き上げて、何時に寝れば、何時間・・。
そんなこんなを考えて、気がつけば小1時間、頭はグングンと冴えてくるようでした。
カバッと布団を払いのけ、明かりを点けて、頭に油を塗り込んで、よし、と声を上げた自分は、いささか酩酊していたと思います。
宿の前でタクシーを捕まえて、
「どこでもよいから、繁華街にやってください」
するとタクシーの運転手、「繁華街?」と、一瞬、困ったような顔をしましたが、
「この辺ですと、錦糸町か上野ですね」
「どっちが近いですか?」
「錦糸町ですね。2000円くらいで行きますよ」
そうして連れられた夜の町、錦糸町と言えば久米繊維さんのお膝元、その関係で私も幾度か訪れたことがありますが、キラキラと交錯するネオンの明かり、其処彼処に立つ客引きの男や女、まったくもって、どうしても私の知る錦糸町とは重ならないようなのでした。
メクラメッポウうろついて、ちょび髭の客引きと一緒に路地裏を歩き、体はメキメキと元気になるようでした。
2軒ばかり梯子して、なんだかもうよく分からない内に再びタクシーを捕まえて、何処かのコンビニエンスストアで降ろしてもらい、それから確かに、一度、歩道橋を渡ったような気がいたします。
久しく歩道橋を歩きませんから、これがひどく新鮮で、とても印象に残りました。
あたかも空中を歩くかの如く、綱渡りでもするかのようにこれを渡って、ふと立ち止まり見上げれば、綺麗な半月が懸かっておりました。
歩道橋に懸かる月。
そんなフレーズの曲があったような、なかったような、思い出せぬまま、鼾をかいておりました。
その昔、深川のお祭りでTシャツを売ったことがありますが、以来十数年振り、門前仲町に宿を取りました。
曖昧と言うよりも、ほとんど記憶にない町並み、宿の場所が場所であったか、目の前の大きな通りをビュンビュンと車が横切って、思いもよらぬ大都市でした。
長時間、独りで車を運転して、退屈が疲れを呼んだか、宿に着いた頃にはもうぐったりでした。ベッドに足を投げ出して、缶ビールを数本空けたら、夕飯を食いに行くのも億劫なくらいでした。
なにせ明日は早くから仕事です。何処かで弁当でも買い出して、今日はおとなしく早寝をしよう。
重たい腰を上げ、駅を目指して宿を出ました。
初冬の短い日が暮れて、行き交う人々は皆せわしなく、酔いにだるさを増した体で、行けども行けども同じ景色の繰り返し、結局、何処が駅なのか、たどり着くことが出来ませんでした。
それでも、ようやく見つけたスーパーで、シャケ弁当と、厚揚げと、それからビールを数本、そうして、おとなしく寝る代わりに、白州を買って帰りました。
お腹も頭も落ち着いて、シャワーも浴びてあとは寝るだけ、となったのが10時を回った頃でした。
ところが、いざベッドに入ってみると、なんだかムラムラとして、なかなか寝付けません。
このムラムラの正体、無論、私には分かっておりました。
ヘイユー、折角東京に来て、夜遊びもしないのかい。
実は先刻歩き回った時にも、それとなく繁華街を探してはいたのですが、思った以上の体の疲れに気が挫け、しかしその火種はブスブスと、シャケを頬張りながらも燻り続けていたという訳です。
おいおい、今からまた出掛けて、この寒い中、ウロウロと店を探して歩くのかい。
せめて、場所に見当がつけば・・。
なに、タクシーがあるじゃあないか。
2時間で引き上げて、何時に寝れば、何時間・・。
そんなこんなを考えて、気がつけば小1時間、頭はグングンと冴えてくるようでした。
カバッと布団を払いのけ、明かりを点けて、頭に油を塗り込んで、よし、と声を上げた自分は、いささか酩酊していたと思います。
宿の前でタクシーを捕まえて、
「どこでもよいから、繁華街にやってください」
するとタクシーの運転手、「繁華街?」と、一瞬、困ったような顔をしましたが、
「この辺ですと、錦糸町か上野ですね」
「どっちが近いですか?」
「錦糸町ですね。2000円くらいで行きますよ」
そうして連れられた夜の町、錦糸町と言えば久米繊維さんのお膝元、その関係で私も幾度か訪れたことがありますが、キラキラと交錯するネオンの明かり、其処彼処に立つ客引きの男や女、まったくもって、どうしても私の知る錦糸町とは重ならないようなのでした。
メクラメッポウうろついて、ちょび髭の客引きと一緒に路地裏を歩き、体はメキメキと元気になるようでした。
2軒ばかり梯子して、なんだかもうよく分からない内に再びタクシーを捕まえて、何処かのコンビニエンスストアで降ろしてもらい、それから確かに、一度、歩道橋を渡ったような気がいたします。
久しく歩道橋を歩きませんから、これがひどく新鮮で、とても印象に残りました。
あたかも空中を歩くかの如く、綱渡りでもするかのようにこれを渡って、ふと立ち止まり見上げれば、綺麗な半月が懸かっておりました。
歩道橋に懸かる月。
そんなフレーズの曲があったような、なかったような、思い出せぬまま、鼾をかいておりました。
