2008年06月06日

再び屋根裏 2

 好奇心とは、さほど旺盛なものではない、というお話です。
 例えば、蕎麦にこだわる人にも、蕎麦本来の香りやのどごしが好きな人、実はおつゆが好きな人、
蕎麦ではなくて、蕎麦屋の女将が好きな人、これはもう、挙げればキリがありません。

 おつゆの世界を辿って行けば、当然、醤油の世界に繋がるでしょうし、
醤油の世界は、大豆の世界、畑の世界へと繋がるでしょう。
 一方で、ダシの方へと興味が湧けば、これはきっと、海へと辿り着くでしょう。

 夏の蕎麦屋で、扇風機が回っていて、ビールを飲みながら、ユラユラと、天井の明かりを映す黒いつゆ。その背景には、広い、大海原が広がります。

 とまあ、やったらキリがありませんから、
普通はあんまり、あれもこれもほじくり回して、覗き込んだりはしないですよね。
 知らないものは知らない。興味のないものに関心は持たない。
 世界の深遠に、はまり込んだら大変です。

 以前、私の知り合いに、こんな人がおりました。
ある山で暮らす絵描きさんですが、この人、大変真面目な人です。
物事の突き詰めようが、尋常ではありません。

 ある日、自分の使っている絵の具のことが気になりだしたそうです。
これは一体、何から出来ているのだろう、と。
そこで実際、自分で絵の具を作ってみて、一応は納得いたしまして、さて、今度はキャンパスが気になるのだそうです。
 これは何だろう? と。
 すると絵筆も気になってきて、絵筆がメガネ、メガネがヤスキヨ、と、道はどんどん続きます。
 表現とは何だろう、物を作るとは、どういうことだろう。
 ところで僕は、誰だろう?
実に怪しくなってまいりました。

 その内に、この人、縄文土器を作り始めてしまいました。
 随分と遡ったなぁ。
私、この人のことを、なんとなく尊敬いたしました。
 しかし、それ以上に感心させられたのは、やはりいずれの道にも先人があるということでした。
縄文土器の世界にも、第一人者と呼ばれる人がいるそうでして、この絵描きさん、その人に師事したのだ、と言っておりました。
 絵描きさん、心なしか胸を張るようでした。

 
   

Posted by wajin at 20:33Comments(0)TrackBack(0)