2008年01月04日
正月風景
新年明けましておめでとうございます。
お正月、如何お過ごしでしょうか。
私は、暮れも暮れ、30日にようやく赤ん坊が産まれまして、正月は病院通いの毎日です。
お陰さまで母子共に健康で、無事、3,700グラムの大きな女の子が誕生しました。
出産に立ち会いまして、私、大変な感動を覚えたのですが、しかしこの手の話は、熱く語ったところでどうしても聞く者との間に温度差がありますから、詳細は端折りましてひと言。
良かったです。興奮しました。久し振りに、とっても素敵な1日でした。
毎日午頃には病院に着きまして、面会が夜の9時までとなっておりますから、大体10時くらいには家に戻ってまいります。
およそ9時間もの間、ベッドと小さなふたり掛けのソファがあるばかりの狭い病室で、一体何をしているのかと言いますと、赤ん坊のほっぺたを指で突いたり、テレビを見たり、後は近くのスーパーで買ってきた弁当を食べたりして過ごしております。
今時、元旦から営業する店も珍しくはありませんが、昔はそんなことはまずありませんでしたよね。
暮れともなれば、お正月用に大量の食料品を買い込んで、これがまた、子供心に、正月独特のワクワクとした気持ちを抱かせたものでした。
お正月って、何と言っても年の初めですから、あくせくとしたくはありませんし、かと言って、テレビもなんだかつまらない、年賀状も毎年同じ人間から来るばかり、昼間から堂々と酒を飲めるのは良いけれど、実は結構、退屈ですよね。
その証拠に、元旦から営業しているこの手の店に行きますと、実に多くの人間が、ぶらぶらぶらぶらとしております。で、こういうぶらぶらとしている人間に混じって、私、毎日、お昼と夕の弁当を買っているのです。
妻には勿論、病院の食事が出ますから、買うのは私ひとり分の弁当だけでして、ところが正月のこの時期です、お惣菜のコーナーには、パーティーセットのような豪華なおかずがズラリと並んで、
普段は主役であるはずの、幕の内やらトンカツ弁当、そんな耳くそのような食べ物は、コーナーの片隅に申し訳程度に積まれているばかりです。
私、そんなに大きなセットを買っても仕方がありませんから、この片隅に積まれた弁当を手に取りまして、ふと、こんなことを考えるのです。
辺りを見回せば、家族連れに若いカップル、みんな正月気分に浮かれて、実に幸せそうじゃあないか。
なに、自分にも新しい家族が出来て、幸せな正月であることは間違いない。
しかし、このカゴの中身の惨めさといったらどうだろう。
から揚げ弁当がひとつ、缶ビールが一本、奮発して買ったポテトサラダの小バック。
これはどうしても、畳が波打った4畳半ひと間かなにかに住んでいる、どてらを着た寂しい中年男の、哀れなお正月そのものじゃあないか。
そこで私は、犯してもいない罪を罰せられるかのように、いそいそと、カゴの中身を幸せな人々に悟られぬよう足早にレジに向かいます。
ところがこのレジでも、アルバイトのお姉ちゃんが追い討ちをかけんばかりにこう尋ねます。
「お箸は一膳で宜しいですか?」
これが私には、
「お独りの、寂しいお正月ですか?」
と、聞こえてならぬのです。
いや、俺にはちゃんと妻がいるから、2膳くれ。
否々、新しい家族が生まれてこんな幸せな時はないんだ、3膳くれ。
しかし、たったひとつのから揚げ弁当を、3人で分かち合うのかと思われても、これはこれでひどく哀れなお正月になってしまいそうですから、ここはやはり、ぐっとこらえて、
「はい、一膳で」
これを、連日繰り返しております。
早く、退院しないかなぁ。
お正月、如何お過ごしでしょうか。
私は、暮れも暮れ、30日にようやく赤ん坊が産まれまして、正月は病院通いの毎日です。
お陰さまで母子共に健康で、無事、3,700グラムの大きな女の子が誕生しました。
出産に立ち会いまして、私、大変な感動を覚えたのですが、しかしこの手の話は、熱く語ったところでどうしても聞く者との間に温度差がありますから、詳細は端折りましてひと言。
良かったです。興奮しました。久し振りに、とっても素敵な1日でした。
毎日午頃には病院に着きまして、面会が夜の9時までとなっておりますから、大体10時くらいには家に戻ってまいります。
およそ9時間もの間、ベッドと小さなふたり掛けのソファがあるばかりの狭い病室で、一体何をしているのかと言いますと、赤ん坊のほっぺたを指で突いたり、テレビを見たり、後は近くのスーパーで買ってきた弁当を食べたりして過ごしております。
今時、元旦から営業する店も珍しくはありませんが、昔はそんなことはまずありませんでしたよね。
暮れともなれば、お正月用に大量の食料品を買い込んで、これがまた、子供心に、正月独特のワクワクとした気持ちを抱かせたものでした。
お正月って、何と言っても年の初めですから、あくせくとしたくはありませんし、かと言って、テレビもなんだかつまらない、年賀状も毎年同じ人間から来るばかり、昼間から堂々と酒を飲めるのは良いけれど、実は結構、退屈ですよね。
その証拠に、元旦から営業しているこの手の店に行きますと、実に多くの人間が、ぶらぶらぶらぶらとしております。で、こういうぶらぶらとしている人間に混じって、私、毎日、お昼と夕の弁当を買っているのです。
妻には勿論、病院の食事が出ますから、買うのは私ひとり分の弁当だけでして、ところが正月のこの時期です、お惣菜のコーナーには、パーティーセットのような豪華なおかずがズラリと並んで、
普段は主役であるはずの、幕の内やらトンカツ弁当、そんな耳くそのような食べ物は、コーナーの片隅に申し訳程度に積まれているばかりです。
私、そんなに大きなセットを買っても仕方がありませんから、この片隅に積まれた弁当を手に取りまして、ふと、こんなことを考えるのです。
辺りを見回せば、家族連れに若いカップル、みんな正月気分に浮かれて、実に幸せそうじゃあないか。
なに、自分にも新しい家族が出来て、幸せな正月であることは間違いない。
しかし、このカゴの中身の惨めさといったらどうだろう。
から揚げ弁当がひとつ、缶ビールが一本、奮発して買ったポテトサラダの小バック。
これはどうしても、畳が波打った4畳半ひと間かなにかに住んでいる、どてらを着た寂しい中年男の、哀れなお正月そのものじゃあないか。
そこで私は、犯してもいない罪を罰せられるかのように、いそいそと、カゴの中身を幸せな人々に悟られぬよう足早にレジに向かいます。
ところがこのレジでも、アルバイトのお姉ちゃんが追い討ちをかけんばかりにこう尋ねます。
「お箸は一膳で宜しいですか?」
これが私には、
「お独りの、寂しいお正月ですか?」
と、聞こえてならぬのです。
いや、俺にはちゃんと妻がいるから、2膳くれ。
否々、新しい家族が生まれてこんな幸せな時はないんだ、3膳くれ。
しかし、たったひとつのから揚げ弁当を、3人で分かち合うのかと思われても、これはこれでひどく哀れなお正月になってしまいそうですから、ここはやはり、ぐっとこらえて、
「はい、一膳で」
これを、連日繰り返しております。
早く、退院しないかなぁ。
